Skylight & Directional Light

Skylight(スカイライト)

 :Skylightは、シーン全体に均一な環境光を提供する。

 :主な特徴と役割は次の通り。

 (1) 環境光のシミュレーション
  : Skylightは、空全体からの散乱光をシミュレートする。これは、晴れた日や曇りの日のような、間接的な照明を表現するのに役立つ。

 (2) シャドウのソフト化
  : Skylightは、特定の方向からの光ではなく、全方向からの光を提供するため、シャドウがソフトで淡くなる。

 (3) 反射の改善
  : Skylightは、シーンのオブジェクトが反射する光を補完し、よりリアルな見た目を実現する。

Directional Light
(ディレクショナルナルライト)

 :Directional Light は、シーン全体に対して、特定の方向からの平行光を提供する。

 :主な特徴と役割は以下の通り。

 (1) 太陽光のシミュレーション
  : Directional Lightは、無限遠からの平行光をシミュレートし、太陽のような強い光源を表現する。

 (2)シャドウのキャスティング
  : Directional Lightは、シーン全体に対して明確なシャドウを生成する。シャドウの方向と長さは、ライトの角度によって決まる。

 (3)高い強度
  : Directional Lightは、非常に強い光を提供でき、シーンに強いコントラストと明るいハイライトをもたらす。

【Tips】

■ 太陽の日差しのモデル化

 :太陽の日差しをモデル化するために、SkylightとDirectional Lightを組み合わせて使用する。


 (1) Directional Lightの設定

  ・角度と方向
   :真昼は高い位置に、夕方のは低い位置に設定する。

  ・強度
   :太陽光の強度を調整して、自然な見た目を実現する。


 (2) Skylightの設定

  ・キャプチャ
   :シーンの環境をキャプチャし、Skylightが適切な環境光を提供するように設定する。

  ・強度
   :Skylightの強度を調整して、シーン全体の明るさをバランスさせる。

Lumen(ルーメン)

【概要】

 :動的なライティングと反射を高品質かつ効率的に実現するための技術。

 :従来のライトベイクや事前計算なしで、リアルタイムのライティングを計算する。

【詳細】

 ・リアルタイム
  グローバルイルミネーション
  (Global Illumination, GI)
  :光が複数回反射することで生じる間接光をリアルタイムで計算すること。動的に変化するシーンでも正確なライティングが提供される。

 ・リアルタイム反射
  (Reflections)
  :鏡や水面などの反射性の高い素材に対して自然な反射効果が提供される。

 ・動的ライティング
  :動的に変化するライトソースやオブジェクトの移動に対して適応する。

  :常に正確なライティングと反射を維持する。

【設定方法】

 1.プロジェクト設定
  ・「Project Settings」>「Engine」>「Rendering」セクションで、「Global Illumination Method」と「Reflection Method」を「Lumen」に設定する。

  ・「Platforms」>「Windows」セクションで、RHI(レンダリングハードウェアインターフェイス)を「DirectX 12」に設定する。


 2.ライティング設定(例)
  ・Sky Lightの「Details」パネルで「Real-Time Capture」を有効にする。

  ・主光源となる Directional Light を配置し、主要なライティングを設定する。

  ・「Post Process Volume」を追加し、ボリュームの範囲を「Unbound(無限)」に設定する。


 3.調整
  ・「Post Process Volume」の「Lumen Global Illumination」セクションで、グローバルイルミネーションの品質や強度を調整する。

  ・「Lumen Reflections」セクションで、反射の品質やディテールを設定する。

HDRI(High Dynamic Range Imaging、ハイダイナミックレンジイメージング)

【概要】

 :光と色の情報を広範なダイナミックレンジでキャプチャし、表示する技術のこと。

 :HDRIを使用してリアルなライティングや反射効果を実現し、ビジュアル品質を向上させることができる。

【詳細】

 ・ハイダイナミックレンジ
 (High Dynamic Range)
  :通常の画像(SDR、スタンダードダイナミックレンジ)の輝度範囲より広い輝度範囲を持つ。

 ・イメージベースライティング
 (Image-Based Lighting, IBL)
  :HDRIを環境マップとして使用し、ライティングを行う技術のこと。

  :自然光やスタジオライティングのようなリアルな照明効果を実現できる。

 ・リフレクション(Reflection)
  :HDRIを使用してオブジェクトにリアルな反射を適用する。

  :例えば、金属やガラスなどの反射性の高い素材が自然に見える。

【使用方法】

 1.HDRIの準備
  :高品質なHDRI画像をオンラインで取得するか、自分で撮影する。

  :一般的な形式はHDR(.hdr)やEXR(.exr)。

 2.インポート
  :コンテンツブラウザ「Import」から、HDRI画像ファイルをインポートする。

 3.適用例
  :HDRIをSky Sphereに適用

   1)レベルに「Sky Sphere Blueprint」または「Sky Light」を追加する。

   2)「Sky Light」の「Details」パネルで「Source Type」を「SLS Specified Cubemap」に設定する。

   3)「Cubemap」フィールドにインポートしたHDRI画像を指定する。

 4.ライティングの調整
  :「Intensity」値を調整して、シーンの明るさを最適化する。

  ;必要に応じて「Directional Light」を追加し、太陽光や主要な光源をシミュレートする。

 5.ポストプロセス
   エフェクトの調整
  :レベルに「Post Process Volume」を追加し、ポストプロセスエフェクトを適用する。

  :「Auto Exposure」や「Bloom」などのエフェクトを調整して、見た目を最適化する。

Reflection Capture(リフレクションキャプチャ)

【概要】

 :リフレクション(反射)効果を実現するための機能のこと。

 :光の反射をキャプチャし、オブジェクトに適用するとリアルな反射効果が生まれる。

【詳細1】

 ・Reflection Capture Actor
  :特定のアクターを使用してレベル内の反射情報をキャプチャする。

 ・Reflection Environment
  :レベル内の環境をキャプチャし、リフレクションマップとして使用する。

 ・反射プローブ
 (Reflection Probe)
  :Reflection Captureアクターの別称で、特定の位置から環境をキャプチャする。

【詳細2】

 ・Sphere Reflection Capture
  :球状のキャプチャエリアを持ち、全方向からの反射をキャプチャする。

  :小さなエリアや局所的な反射に適している。

 ・Box Reflection Capture
  :直方体のキャプチャエリアを持ち、特定の領域内の反射をキャプチャする。

  :部屋や建物など、限定されたエリアの反射に適している。

【例】

 ・室内シーンの反射

  1)Box Reflection Capture
     の配置
   :室内の中心に Box Reflection Captureを配置し、部屋全体をカバーするように範囲を設定する。

  2)反射の確認
   :壁、床、家具などのオブジェクトに適用された反射を確認し、室内のリアルな環境反射を実現する。

 ・屋外シーンの反射

  1)Sphere Reflection Capture
    の配置
   :屋外シーンの重要なポイントにSphere Reflection Captureを配置し、広範囲の反射情報をキャプチャする。

  2)反射の確認
   :車、建物、樹木などのオブジェクトに適用された反射を確認し、屋外のリアルな環境反射を実現する。

Subsurface Scattering(SSS, サブサーフェス・スキャッタリング)

【概要】

 :半透明な物質を通過する光の挙動および技術の総称。

 :肌、蝋、ミルク、大理石などの素材をリアルに表現するために使用される。

 :光が表面下で散乱し、自然で柔らかな見た目を実現する。

【詳細】

 ■ スキャッタリングプロファイル
  (Scattering Profile)
  :SSSの挙動を制御するためのパラメータセットのこと。物質の密度や色の特性が含まれる。

  ・Scatter Radius
   :光の散乱の範囲を設定する。

  ・Subsurface Color
   :物質の内部色を設定する。
   :通常は肌の色。

  ・Falloff Color
   :光が散乱した後の減衰色を設定する。

  ・半透明性(Translucency)
   :物質が光をどれだけ透過するかを示す特性のこと。SSSは半透明性のある物質に対して適用される。

Lightmass(ライトマス)

【概要】

 :グローバルイルミネーション(GI)および静的ライティングの計算に使用されるベイク(焼き付け)システムのこと。

 :Lightmassを使用することで、ライティングやシャドウを高品質にレンダリングできる。

 :また、リアルな間接光や環境光の効果をシミュレートできる。

【詳細1】

 ・ベイク(Bake)
  :ライティングの情報を静的に計算して、ライトマップ(Lightmap)として保存するプロセスのこと。
  
  :ベイクをすると、リアルタイムレンダリング時のパフォーマンスが向上する。

 ・ライトマップ(Lightmap)
  :オブジェクトに適用される2Dテクスチャのこと。ライティング情報を格納するデータ。

  :各ピクセルは、ライティングとシャドウの情報を保持している。

 ・ポータル(Portal)
  :窓やドアなど、外部の光が入る箇所に配置すると、Lightmass のGI 計算が最適化される。
  
  :例えば、室内のライティングがより正確に計算される。

【詳細2】

 ■ Lightmassのワールド設定
  :「World Settings」>「Lightmass」セクションで基本設定をする。

  ・Static Lighting Level Scale
   :光のサンプリングのスケールを設定する。
   :値を小さくすると詳細なライティングが計算されるが、ビルド時間が増加する。

  ・Indirect Lighting Quality
   :間接光の品質を設定する。
   :値を大きくすると品質が向上するが、ビルド時間が増加する。

  ・Indirect Lighting
    Smoothness
   :間接光の滑らかさを設定。
   :値が大きいほどライティングが滑らかになるが、詳細が失われる可能性がある。

  ・Environment Color
   :環境光の色を設定する。

  ・Lightmassのライト設定
   :使用するライトを「Mobility」から「Static」に設定すると、ライティング情報がベイクされる。

【例】

 1.室内の高品質ライティング

  1)ポータルの配置
   :窓などに「Lightmass Portal」を配置して、外部からの光の計算を最適化する。

  2)ライトマップ解像度の設定
   :室内の重要なオブジェクトに対して、高いライトマップ解像度を設定して、詳細なライティング情報を保存する。

  3)ビルドと調整
   :ライティングをビルドし、結果を確認する。
   :結果が不良な場合、「Indirect Lighting Quality」や「Lightmap Resolution」を調整して再ビルドする。

 2.外のリアルな
   グローバルイルミネーション

  1)環境光の設定
   :「World Settings」で環境光の色と強度を設定する。

  2)ライトの設定
   :主要な光源(例:太陽光)を「Static」に設定し、光の方向と強度を決定する。

  3)ビルドと確認
   :ライティングをビルドし、ライティング効果を確認する。
   :必要に応じて、ポータルの追加や設定の調整を行う。